1. はじめに
1.1. この記事の目的
この記事では、NumPyの1次元配列への変換に関する関数であるflatten()
とravel()
を網羅的に解説し、違いやパフォーマンスについても詳しく説明します。
2. NumPyでの配列の1次元化
2.1. flatten()関数
2.1.1. flatten()の基本的な使い方
flatten()
関数は、多次元配列を1次元配列に変換する関数です。使用方法は以下の通りです。
import numpy as np
array = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6], [7, 8, 9]])
flattened_array = array.flatten()
print(flattened_array) # [1 2 3 4 5 6 7 8 9]
2.1.2. flatten()のオプション
flatten()
関数にはオプションとして、要素の順序を指定するorder
引数があります。デフォルトはorder='C'
で、C言語のように行方向に要素を読み込みます。order='F'
を指定すると、Fortran言語のように列方向に要素を読み込みます。
import numpy as np
array = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6], [7, 8, 9]])
flattened_array_c = array.flatten(order='C')
print(flattened_array_c) # [1 2 3 4 5 6 7 8 9]
flattened_array_f = array.flatten(order='F')
print(flattened_array_f) # [1 4 7 2 5 8 3 6 9]
2.2. ravel()関数
2.2.1. ravel()の基本的な使い方
ravel()
関数も、多次元配列を1次元配列に変換する関数です。使用方法は以下の通りです。
import numpy as np
array = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6], [7, 8, 9]])
raveled_array = array.ravel()
print(raveled_array) # [1 2 3 4 5 6 7 8 9]
2.2.2. ravel()のオプション
ravel()
関数にもorder
引数があり、flatten()
関数と同様に要素の順序を指定できます。
import numpy as np
array = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6], [7, 8, 9]])
raveled_array_c = array.ravel(order='C')
print(raveled_array_c) # [1 2 3 4 5 6 7 8 9]
raveled_array_f = array.ravel(order='F')
print(raveled_array_f) # [1 4 7 2 5 8 3 6 9]
2.3. flat属性
2.3.1. flatの基本的な使い方
flat
属性は、多次元配列を1次元配列に変換するイテレータです。使用方法は以下の通りです。
import numpy as np
array = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6], [7, 8, 9]])
for element in array.flat:
print(element, end=' ') # 1 2 3 4 5 6 7 8 9
2.3.2. flatの注意点
flat
属性はイテレータであるため、直接リストや配列に変換することはできません。リストや配列に変換するには、list()
やnp.array()
を使用します。
import numpy as np
array = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6], [7, 8, 9]])
flattened_list = list(array.flat)
print(flattened_list) # [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9]
flattened_array = np.array(array.flat)
print(flattened_array) # [1 2 3 4 5 6 7 8 9]
3. flattenとravelの違いとパフォーマンス比較
3.1. メモリ使用量の違い
flatten()
は新しいメモリ領域にコピーを作成し、1次元配列に変換します。一方、ravel()
は元の配列と同じメモリ領域を参照するため、メモリ使用量が少なくなります。
3.2. 実行速度の違い
ravel()
はflatten()
よりも高速に実行されることが一般的です。これは、ravel()
がメモリ上でのデータのコピーを行わず、参照のみを行っているためです。
3.3. どちらを使うべきか
ravel()
は高速でメモリ効率が良いですが、元の配列に影響を与える可能性があります。一方、flatten()
は新しく開放したメモリ領域にデータをコピーするため、元の配列に影響を与えませんが、メモリ使用量が増えるデメリットがあります。どちらを使用するかは、パフォーマンスと安全性のトレードオフを考慮して決定してください。
4. 実用的な例
4.1. データ形状の変換
機械学習モデルにデータを入力する際、入力データの形状を変更する必要がある場合があります。1次元配列に変換し、その後適切な形状に変換することで、データの形状を変更できます。
import numpy as np
data = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6], [7, 8, 9]])
# 1次元配列に変換
flattened_data = data.ravel()
# 新しい形状に変換
reshaped_data = flattened_data.reshape(3, 3, 1)
print(reshaped_data)
# [[[1]
# [2]
# [3]]
#
# [[4]
# [5]
# [6]]
#
# [[7]
# [8]
# [9]]]
この例では、元の2次元配列を1次元配列に変換した後、新しい3次元配列に変換しました。
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