Pythonライブラリとは
Pythonライブラリとは、Pythonプログラムで使用するための便利な機能を提供するツールのことです。Pythonには標準ライブラリと呼ばれるものがありますが、この他にも、多数のサードパーティライブラリが存在します。これらのライブラリを使用することで、Pythonプログラムの開発がより迅速かつ簡単になります。
ライブラリは、共通して使用される機能をまとめたもので、再利用が可能なコードの集合体です。ライブラリを利用することで、同じ機能を複数回書く必要がなくなり、効率的なコーディングが可能になります。
ライブラリの使い方
Pythonには、標準ライブラリと呼ばれるPythonの基本的な機能を提供するライブラリがあります。また、外部ライブラリと呼ばれる、Pythonの標準ライブラリ以外のライブラリも多数存在します。外部ライブラリは、pipと呼ばれるパッケージ管理ツールを使用してインストールすることができます。
ライブラリを利用するには、まずPythonのプログラムにライブラリを読み込む必要があります。ライブラリを読み込むには、import文を使用します。例えば、osという標準ライブラリを利用する場合、以下のようにimport文を記述します。
import os
外部ライブラリのインストールと探し方
Pythonの外部ライブラリは、PyPIと呼ばれるオンラインのライブラリリポジトリで管理されています。PyPIには、多数のPythonライブラリが登録されており、必要なライブラリを検索してインストールすることができます。
外部ライブラリをインストールするには、pipと呼ばれるパッケージ管理ツールを使用します。pipを使用すると、簡単にPythonライブラリをインストールすることができます。以下のコマンドを使用して、外部ライブラリをインストールすることができます。
pip install ライブラリ名
例えば、requestsという外部ライブラリをインストールする場合、以下のようにコマンドを実行します。
pip install requests
以上のように、Pythonライブラリは、多くの便利な機能を提供してくれます。開発者は、必要な機能が実装されているライブラリを選択して、自由にプログラミングを進めることができます。
PyPIでもっともダウンロードされているpipパッケージは?
PyPIではダウンロードされたライブラリのダウンロード数を公開しているため、人気のライブラリについては以下のページから確認することができます。
外部ライブラリのインストールはパッケージ管理ツールを使うのもおすすめ
外部ライブラリはpipでインストールするのがお手軽ですが、チームで開発する場合などは環境を共有する必要があるためpipではなく、pipenvやpoetryといったパッケージ管理ツールを通してインストールするのが一般的です。詳細は以下の記事で紹介しているので参考にしてみてください。
Pythonライブラリの重要性
Pythonライブラリの利点は、以下のとおりです。
- 既存のコードを再利用することができるため、プログラムの開発時間を短縮できる。
- 便利な関数やクラスが提供されるため、プログラマーが手軽に高度な機能を実現できる。
- ライブラリは、多数のユーザーによって使用され、多数のコントリビューターによって改善されるため、信頼性が高く、問題が発生した場合にも迅速な解決策が提供される。
よく使われる標準ライブラリ一覧
以下は、Python標準ライブラリの中でもよく使用されるものの一部です。
os
osモジュールは、ファイルやディレクトリを操作するための便利な関数を提供します。
import os
# 現在のディレクトリを取得する
current_dir = os.getcwd()
print(current_dir) # 実行結果:/Users/username/Documents
# 新しいディレクトリを作成する
os.mkdir("test_dir")
# ファイルを削除する
os.remove("test.txt")
# ディレクトリを削除する
os.rmdir("test_dir")
sys
sysモジュールは、Pythonの実行時に関連する情報を提供します。
import sys
# Pythonのバージョンを表示する
print(sys.version) # 実行結果:3.9.2 (default, Feb 20 2021, 00:00:00)
# スクリプトを終了する
sys.exit()
datetime
datetimeモジュールは、日付や時間を処理するための便利なクラスを提供します。
import datetime
# 現在の日付と時刻を取得する
now = datetime.datetime.now()
print(now) # 実行結果:2022-03-08 09:42:33.396677
# 日付をフォーマットする
formatted_date = now.strftime("%Y/%m/%d %H:%M:%S")
print(formatted_date) # 実行結果:2022/03/08 09:42:33
time
timeモジュールは、時間を扱うための便利な関数を提供します。
import time
# 現在の時刻を取得する
current_time = time.time()
print(current_time) # 実行結果:1646776053.3995047
# 指定された秒数だけスリープする
time.sleep(1)
print("1秒経過しました") # 実行結果:1秒経過しました
math
mathモジュールは、数学関連の関数を提供します。
import math
# 平方根を計算する
sqrt_value = math.sqrt(2)
print(sqrt_value) # 実行結果:1.4142135623730951
# sinの値を計算する
sin_value = math.sin(math.pi/2)
print(sin_value) # 実行結果:1.0
random
randomモジュールは、乱数を生成するための便利な関数を提供します。
import random
# ランダムな整数を生成する
random_int = random.randint(1, 10)
print(random_int) # 実行結果:5
# ランダムな浮動小数点数を生成する
random_float = random.uniform(1, 10)
print(random_float) # 実行結果:2.7251657711067796
collections
collectionsモジュールは、コンテナ型のデータ構造を拡張したものを提供します。
import collections
# ディクショナリを作成する
my_dict = collections.defaultdict(int)
# ディクショナリに値を設定する
my_dict["a"] = 1
my_dict["b"] = 2
# ディクショナリの値を取得する
print(my_dict["a"]) # 実行結果:1
print(my_dict["c"]) # 実行結果:0
itertools
itertoolsモジュールは、イテレータを扱うための便利な関数を提供します。
import itertools
# イテレータを生成する
my_iter = itertools.count(1)
# イテレータから値を取得する
print(next(my_iter)) # 実行結果:1
print(next(my_iter)) # 実行結果:2
copy
copyモジュールは、オブジェクトを複製するための便利な関数を提供します。
import copy
# リストを作成する
my_list = [1, 2, 3]
# リストを複製する
new_list = copy.deepcopy(my_list)
# リストの要素を変更する
my_list[0] = 4
# 複製したリストの要素を表示する
print(new_list) # 実行結果:[1, 2, 3]
re
reモジュールは、正規表現を扱うための便利な関数を提供します。
import re
# 正規表現にマッチする文字列を検索する
result = re.search("Python", "I love Python")
print(result.group()) # 実行結果:Python
json
jsonモジュールは、JSON形式のデータを扱うための便利な関数を提供します。
import json
# JSON形式の文字列を読み込む
json_string = '{"name": "John", "age": 30, "city": "New York"}'
data = json.loads(json_string)
# データを表示する
print(data["name"]) # 実行結果:John
print(data["age"]) # 実行結果:30
csv
csvモジュールは、CSV形式のデータを扱うための便利な関数を提供します。
import csv
# CSVファイルを読み込む
with open("data.csv") as f:
reader = csv.reader(f)
for row in reader:
print(row)
logging
loggingモジュールは、ログを出力するための便利な関数を提供します。
import logging
# ログを出力する
logging.basicConfig(filename="example.log", level=logging.DEBUG)
logging.debug("This is a debug message")
logging.info("This is an info message")
logging.warning("This is a warning message")
logging.error("This is an error message")
logging.critical("This is a critical message")
argparse
argparseモジュールは、コマンドライン引数をパースするための便利な関数を提供します。
import argparse
# コマンドライン引数を定義する
parser = argparse.ArgumentParser()
parser.add_argument("square", type=int, help="display the square of a given number")
# コマンドライン引数をパースする
args = parser.parse_args()
# 引数の平方を計算する
result = args.square ** 2
print(result)
データ分析関連のライブラリ一覧から続きを書いて
NumPy
NumPyは、高速で効率的な数値計算を行うためのライブラリです。多次元配列の計算や乱数生成などをサポートしています。
import numpy as np
# 多次元配列を作成する
arr = np.array([[1, 2], [3, 4]])
# 配列の形状を表示する
print(arr.shape) # 実行結果:(2, 2)
Pandas
Pandasは、データ解析に必要なデータ構造や操作を提供するライブラリです。データの読み込み、加工、集計などを簡単に行うことができます。
import pandas as pd
# CSVファイルを読み込む
df = pd.read_csv("data.csv")
# データの先頭行を表示する
print(df.head())
Matplotlib
Matplotlibは、グラフ描画ライブラリです。折れ線グラフ、散布図、棒グラフなど、様々な種類のグラフを描画することができます。
import matplotlib.pyplot as plt
# 折れ線グラフを描画する
x = [1, 2, 3, 4, 5]
y = [2, 4, 6, 8, 10]
plt.plot(x, y)
plt.show()
Seaborn
Seabornは、Matplotlibをベースにした高度なグラフ描画ライブラリです。簡単に美しいグラフを描画することができます。
import seaborn as sns
# 散布図を描画する
df = sns.load_dataset("iris")
sns.scatterplot(x="sepal_length", y="petal_length", hue="species", data=df)
plt.show()
plotly
plotlyは、対話的な可視化を提供するライブラリです。ブラウザ上での動的なグラフ描画が可能で、グラフのエクスポートも簡単に行うことができます。
import plotly.express as px
# 散布図を描画する
df = px.data.iris()
fig = px.scatter(df, x="sepal_width", y="sepal_length", color="species")
fig.show()
ロギングライブラリ
loguru
loguruは、Pythonのログ処理のためのライブラリです。loguruは、簡潔なシンタックスを提供することで、Pythonのログ処理を簡単に行うことができます。
loguruを使用するには、loggerオブジェクトを作成する必要があります。loggerオブジェクトを使用することで、ログメッセージを出力することができます。以下は、loguruを使用してログメッセージを出力する例です。
from loguru import logger
logger.info("This is an info message")
logger.warning("This is a warning message")
logger.error("This is an error message")
上記の例では、info、warning、errorという3つのログレベルを使用しています。ログレベルは、ログメッセージの重要度に応じて設定することができます。loguruでは、標準出力以外にもファイルへのログ出力、ローテーション、フォーマットの変更など、多数の設定が可能です。
loguruは、Pythonの標準ライブラリであるloggingモジュールよりもシンプルなAPIを提供しているため、簡単に使用することができます。また、ログメッセージのフォーマットが柔軟に設定できるため、見やすいログを出力することができます。
Web開発関連のライブラリ一覧
Flask
Flaskは、PythonのマイクロWebフレームワークの1つです。軽量でシンプルな設計が特徴で、RESTful APIの構築やWebアプリケーションの作成などに利用されます。
Django
Djangoは、PythonのWebアプリケーションフレームワークの1つで、より多機能で堅牢な設計が特徴です。データベースとの連携やセッション管理、認証機能などを提供しています。
FastAPI
FastAPIは、高速で効率的なWebアプリケーションを構築するためのフレームワークです。OpenAPIのサポートや自動ドキュメンテーション機能などが特徴で、APIの作成やWebアプリケーションの開発に利用されます。
機械学習関連のライブラリ一覧
Scikit-learn
Scikit-learnは、Pythonの機械学習ライブラリの1つで、多くの機械学習アルゴリズムやツールを提供しています。線形回帰、SVM、ランダムフォレストなどが利用可能で、データ前処理、モデル選択、モデル評価などもサポートしています。
TensorFlow
TensorFlowは、Googleが開発したオープンソースの機械学習ライブラリです。多くの機能を提供し、ニューラルネットワークの構築や自然言語処理、画像認識、音声認識など、幅広い用途に利用されます。
PyTorch
PyTorchは、Facebookが開発したオープンソースの機械学習ライブラリで、TensorFlowと同様にニューラルネットワークの構築や自然言語処理、画像認識などに利用されます。動的な計算グラフ
デスクトップアプリケーション関連のライブラリ一覧
PyQt
PyQtは、PythonでQtフレームワークを利用するためのライブラリです。Qtは、C++で書かれたマルチプラットフォームのアプリケーションフレームワークで、GUIアプリケーション開発に利用されます。PyQtを使用することで、PythonでもQtを利用したGUIアプリケーションの開発が可能となります。
wxPython
wxPythonは、Pythonで利用できるGUIツールキットの1つで、wxWidgetsというC++で書かれたフレームワークをPythonから利用するためのライブラリです。クロスプラットフォームで利用できるGUIアプリケーションの開発に利用されます。
ゲーム開発関連のライブラリ一覧
Pygame
Pygameは、Pythonで利用できるゲーム開発ライブラリの1つで、2Dゲームの開発に利用されます。グラフィックスやサウンド、マウス・キーボード入力などの制御が可能で、簡単なゲームの開発からスタートすることができます。
テスト自動化関連のライブラリ一覧
unittest
unittestは、Pythonの標準ライブラリに含まれるテスト自動化ツールです。テストケースの作成や実行、結果の確認が可能で、簡単な単体テストから複雑なテストまで対応しています。
pytest
pytestは、Pythonで利用できるテスト自動化フレームワークの1つで、unittestよりも柔軟なテストの実行やカスタマイズが可能です。独自のアサーションやフィクスチャ機能も提供しています。
データベース関連のライブラリ一覧
SQLAlchemy
SQLAlchemyは、Pythonで利用できるオブジェクト関係マッピング(ORM)フレームワークの1つで、データベースの操作やSQLの生成が可能です。データベースにアクセスする際のセキュリティも重視しており、SQLインジェクションなどの脆弱性を低減することができます。
PyMySQL
PyMySQLは、Pythonで利用できるMySQL用のクライアントライブラリです。MySQLにアクセスする際に必要な操作や、SQLの実行が可能です。
Alembic
Alembicは、Pythonで利用できるデータベースマイグレーションツールの1つで、SQLAlchemyと組み合わせて使用することができます。データベーススキーマの変更やバージョン管理が簡単に行え、データベースのバージョンを管理することができます。
ネットワーク関連のライブラリ一覧
Requests
Requestsは、Pythonで利用できるHTTP通信ライブラリの1つで、簡単なHTTP通信を行うことができます。GETやPOSTなどのメソッドに対応し、クッキーやセッションの管理も可能です。
urllib
urllibは、Pythonの標準ライブラリに含まれるHTTP通信ライブラリで、HTTPやFTPの通信が可能です。GETやPOSTなどのメソッドに対応しており、より高度なHTTP通信を行うことができます。
WEBスクレイピング&UIテスト自動化関連のライブラリ一覧
Selenium
Seleniumは、Webブラウザの自動操作やUIテスト自動化ができるライブラリの1つです。Webアプリケーションのテストやスクレイピングなどに利用されます。
playwright
playwrightは、SeleniumのようにWebブラウザの自動操作ができるライブラリですが、より高速な操作が可能となっています。また、複数のブラウザに対応しており、クロスブラウザテストにも利用されます。
画像処理関連のライブラリ一覧
OpenCV
OpenCVは、Pythonで利用できる画像処理ライブラリの1つで、画像の読み込みや変換、加工などが可能です。画像認識や機械学習にも利用されます。
Pillow
Pillowは、Pythonで利用できる画像処理ライブラリの1つで、画像の読み込みや変換、加工などが可能です。OpenCVよりもシンプルな操作が可能で、Webアプリケーションやデスクトップアプリケーションなどで利用されます。
自然言語処理関連のライブラリ一覧
NLTK
NLTKは、Pythonで利用できる自然言語処理ライブラリの1つで、テキストデータの前処理や分類、類似度計算などが可能です。教育用のデータセットやコーパスも含まれており、自然言語処理の基礎から応用まで幅広く利用されています。
spaCy
spaCyは、Pythonで利用できる自然言語処理ライブラリの1つで、高速な処理が可能です。テキストデータの前処理や固有表現抽出、依存構造解析などが可能で、機械学習に基づくモデルを利用しています。
Mecab
Mecabは、日本語の形態素解析エンジンの1つで、Pythonから利用することができます。テキストデータの形態素解析や品詞判定が可能で、日本語の自然言語処理に利用されます。
cabocha
cabochaは、日本語の係り受け解析エンジンの1つで、Pythonから利用することができます。テキストデータの係り受け解析が可能で、日本語の自然言語処理に利用されます。
まとめ
Pythonには、様々な用途に合わせた豊富なライブラリが存在します。本記事では、よく利用される標準ライブラリやデータ分析、Web開発、機械学習、デスクトップアプリケーション、ゲーム開発、テスト自動化、データベース、ネットワーク、UIテスト自動化、画像処理、自然言語処理関連のライブラリを紹介しました。
Pythonのライブラリは、それぞれ特徴があり、用途に合わせて選択することが大切です。今後もPythonのライブラリは、更に多様化・発展していくことが予想されます。
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