はじめに
本記事では、NumPyの配列操作のひとつであるnumpy.append
について、使い方や注意点、代替手段などについて解説します。
numpyの基礎知識
NumPyは、Pythonで数値計算を行うためのライブラリです。NumPyの最大の特徴は、高速な配列操作を実現する多次元配列オブジェクトである「ndarray」(N-dimensional array)です。ndarrayを使用することで、Python標準のリストやタプルよりも高速に処理を行うことができます。
NumPy配列の作成方法
NumPy配列は、numpy.array
関数を使用して作成することができます。以下は、NumPy配列を作成する例です。
import numpy as np
# 1次元のNumPy配列を作成する
a = np.array([1, 2, 3])
print(a) # [1 2 3]
# 2次元のNumPy配列を作成する
b = np.array([[1, 2], [3, 4]])
print(b)
# [[1 2]
# [3 4]]
NumPy配列の基本操作
NumPy配列には、リストやタプルと同様に様々な基本操作が用意されています。以下は、NumPy配列の基本操作の例です。
import numpy as np
# NumPy配列のスライス
a = np.array([1, 2, 3, 4, 5])
print(a[1:4]) # [2 3 4]
# NumPy配列の演算
a = np.array([1, 2, 3])
b = np.array([4, 5, 6])
print(a + b) # [5 7 9]
numpy.appendとは?
numpy.append
は、NumPy配列に要素を追加するための関数です。以下は、numpy.append
関数の基本的な使い方です。
import numpy as np
# 1次元のNumPy配列に要素を追加する
a = np.array([1, 2, 3])
b = np.append(a, 4)
print(b) # [1 2 3 4]
# 2次元のNumPy配列に行を追加する
c = np.array([[1, 2], [3, 4]])
d = np.append(c, [[5, 6]], axis=0)
print(d)
# [[1 2]
# [3 4]
# [5 6]]
numpy.appendの注意点
numpy.appendの戻り値について
numpy.append
関数は、新しい配列を返すため、元の配列は変更されません。したがって、numpy.append
関数の戻り値を変数に代入する必要があります。
import numpy as np
# 元の配列は変更されない
a = np.array([1, 2, 3])
b = np.append(a, 4)
print(a) # [1 2 3]
print(b) # [1 2 3 4]
numpy.appendの処理速度について
numpy.append
関数は、新しい配列を作成するため、大量のデータを扱う場合には処理速度が遅くなる可能性があります。したがって、大量のデータを扱う場合には、代替手段を検討する必要があります。
numpy.appendの配列の形状に注意する点
numpy.append
関数を使用する際には、配列の形状に注意する必要があります。例えば、以下のような形状のNumPy配列に要素を追加する場合には、numpy.append
関数のaxis
引数に注意する必要があります。`
import numpy as np
a = np.array([[1, 2], [3, 4]])
b = np.append(a, [5, 6])
print(b)
# [1 2 3 4 5 6]
c = np.array([[1, 2], [3, 4]])
d = np.append(c, [[5], [6]], axis=1)
print(d)
# [[1 2 5]
# [3 4 6]]
numpy.appendが非推奨である理由
numpy.append
関数は、配列に要素を追加するために、新しい配列を作成するため、大量のデータを扱う場合には処理速度が遅くなる可能性があります。したがって、NumPyのドキュメントでは、numpy.append
関数の代わりに、numpy.concatenate
関数を使用することを推奨しています。
numpy.concatenateとの比較
numpy.concatenate
関数は、複数の配列を結合するための関数です。以下は、numpy.concatenate
関数の基本的な使い方です。
import numpy as np
# 1次元のNumPy配列を結合する
a = np.array([1, 2, 3])
b = np.array([4, 5, 6])
c = np.concatenate([a, b])
print(c) # [1 2 3 4 5 6]
# 2次元のNumPy配列を結合する
d = np.array([[1, 2], [3, 4]])
e = np.array([[5, 6]])
f = np.concatenate([d, e], axis=0)
print(f)
# [[1 2]
# [3 4]
# [5 6]]
numpy.concatenateとnumpy.appendの比較
numpy.concatenate
関数は、numpy.append
関数と同様に配列を結合するための関数ですが、複数の配列を一度に結合することができます。また、numpy.concatenate
関数は、結合する配列の形状を自由に指定することができます。
したがって、numpy.concatenate
関数は、numpy.append
関数と比べて、大量のデータを扱う場合にも高速に処理することができます。したがって、NumPyのドキュメントでは、numpy.append
関数の代わりに、numpy.concatenate
関数を使用することを推奨しています。
numpy.insertとの比較
numpy.insert
関数は、指定した位置に要素を挿入するための関数です。以下は、numpy.insert
関数の基本的な使い方です。
import numpy as np
# 1次元のNumPy配列に要素を挿入する
a = np.array([1, 2, 3])
b = np.insert(a, 1, 4)
print(b) # [1 4 2 3]
# 2次元のNumPy配列に列を挿入する
c = np.array([[1, 2], [3, 4]])
d = np.insert(c, 1, [5, 6], axis=1)
print(d)
# [[1 5 2]
# [3 6 4]]
numpy.insert
関数は、numpy.append
関数と同様に、新しい配列を返すため、元の配列は変更されません。また、numpy.insert
関数は、指定した位置に要素を挿入するため、要素の挿入に必要な処理時間がnumpy.append
関数よりも長くなる場合があります。
その他の代替手段
NumPyには、numpy.concatenate
関数とnumpy.insert
関数以外にも、配列を結合するための関数が用意されています。以下は、その代表的な関数です。
numpy.hstackとnumpy.vstack
numpy.hstack
関数は、水平方向に配列を結合するための関数であり、numpy.vstack
関数は、垂直方向に配列を結合するための関数です。以下は、それぞれの関数の基本的な使い方です。
import numpy as np
# 1次元のNumPy配列を水平方向に結合する
a = np.array([1, 2, 3])
b = np.array([4, 5, 6])
c = np.hstack([a, b])
print(c) # [1 2 3 4 5 6]
# 2次元のNumPy配列を垂直方向に結合する
d = np.array([[1, 2], [3, 4]])
e = np.array([[5, 6]])
f = np.vstack([d, e])
print(f)
# [[1 2]
# [3 4]
# [5 6]]
numpy.resize
numpy.resize
関数は、配列の形状を変更するための関数です。以下は、numpy.resize
関数の基本的な使い方です。
import numpy as np
# NumPy配列の形状を変更する
a = np.array([[1, 2], [3, 4]])
b = np.resize(a, (3, 2))
print(b)
# [[1 2]
# [3 4]
# [1 2]]
numpy.appendの応用例
numpy.append
関数は、NumPy配列に要素を追加するための関数であり、配列の操作において非常に便利な関数です。以下は、numpy.append
関数を使用した応用例です。
numpy.appendを使用したプログラム例
以下は、NumPy配列に要素を追加するプログラム例です。
import numpy as np
a = np.array([1, 2, 3])
b = np.array([4, 5, 6])
# NumPy配列に要素を追加する
c = np.append(a, b)
print(c) # [1 2 3 4 5 6]
numpy.appendの応用例の解説
以下は、NumPy配列に要素を追加するプログラムの解説です。
import numpy as np
a = np.array([1, 2, 3])
b = np.array([4, 5, 6])
# NumPy配列に要素を追加する
c = np.append(a, b)
print(c) # [1 2 3 4 5 6]
このプログラムでは、numpy.append
関数を使用して、a
とb
の2つのNumPy配列を結合しています。np.append
関数の第1引数には、結合する配列のうち、先頭に配置する配列を指定します。np.append
関数の第2引数には、結合する配列のうち、末尾に配置する配列を指定します。
結論
本記事では、NumPy配列に要素を追加するための関数であるnumpy.append
関数について、詳しく解説しました。また、numpy.append
関数を使用する際に注意する点や、numpy.append
関数と同様の機能を持つnumpy.concatenate
関数との比較、numpy.append
関数と異なる機能を持つnumpy.insert
関数やnumpy.hstack
関数、numpy.vstack
関数、numpy.resize
関数など、その他の配列を結合するための関数についても紹介しました。
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