1. matplotlibとは:概要と特徴
matplotlibは、Pythonの2D描画ライブラリで、科学計算結果などを高品質な図で表現することができます。実用的なケースから出版向けの環境まで対応しており、Pythonスクリプト、PythonとIPythonシェル、Jupyterノートブック、Webアプリケーションサーバー、さまざまなグラフィカルユーザインターフェースツールキットなどで使用することができます。
2. ローソク足チャートとは:基本的な知識とその重要性
ローソク足チャートは、特定の期間における価格の開始、終了、最高、最低を表示するための視覚的な手段です。特に金融市場の分析ではよく使用され、価格動向や市場の感情を理解するのに役立ちます。
3. matplotlibを用いたローソク足チャートの作成
3.1 必要な環境の準備
matplotlibを使用するには、まずライブラリをインストールする必要があります。以下のコードでインストールできます。
!pip install matplotlib
3.2 データの作成と前処理
データの準備が必要です。以下は、サンプルデータを作成するコードです。
import pandas as pd
import numpy as np
# Create a DataFrame with random data
np.random.seed(0)
date = pd.date_range(start='1/1/2021', end='2/1/2021', freq='B')
data = np.random.randn(len(date), 4).cumsum(axis=0)
df = pd.DataFrame(data, index=date, columns=['Open', 'High', 'Low', 'Close'])
print(df.head())
上記のコードを実行すると以下のような結果が得られます。
Open High Low Close
2021-01-01 1.764052 0.400157 0.978738 2.240893
2021-01-04 2.714140 -0.166790 1.319039 3.156349
2021-01-05 3.687780 -0.536244 2.370231 3.060015
2021-01-06 4.227299 -1.559625 2.926112 4.012569
2021-01-07 3.921465 -2.471035 3.443570 5.205930
3.3 ローソク足チャートの描画:基本的な手順
matplotlibのpyplotを用いてローソク足チャートを描画
します。ただし、matplotlibには直接ローソク足チャートを描画する機能がないため、mpfというライブラリを使います。
!pip install mplfinance
import mplfinance as mpf
# Plotting the OHLC chart
mpf.plot(df,type='candle')
これにより、ローソク足チャートが表示されます。
4. SMA(Simple Moving Average)の導入とその意義
4.1 SMAとは:基本的な知識
SMA(Simple Moving Average)は、ある一定期間における価格の平均を示すもので、価格トレンドを滑らかにしたものと考えることができます。SMAは価格変動をなめらかにすることで、短期的な価格の変動を無視し、長期的なトレンドを強調するのに役立ちます。
4.2 matplotlibでのSMAの追加方法
SMAを計算し、それをチャートにプロットするには、まずpandasのrolling
メソッドを使って移動平均を計算します。
# Compute SMA with a window of 10
df['SMA'] = df['Close'].rolling(window=10).mean()
次に、SMAを含むチャートを再度プロットします。
# Create a dictionary to define the moving averages
apdict = mpf.make_addplot(df['SMA'])
# Plot the chart with the SMA
mpf.plot(df, type='candle', addplot=apdict)
以上のコードを実行すると、SMAが追加されたローソク足チャートが表示されます。
4.3 SMAの利用例とその解析
SMAは価格の長期的なトレンドを確認するのに有用です。価格がSMAを上回る場合、それは上昇トレンドを示す可能性があります。逆に、価格がSMAを下回る場合、それは下降トレンドを示す可能性があります。
5. EMA(Exponential Moving Average)の導入とその視覚化
5.1 EMAとは:基本的な知識
EMA(Exponential Moving Average)は、新しいデータにはより大きな重みを与え、古いデータにはより小さな重みを与えることで、より最近の情報に対応するように設計されています。
5.2 pandasを用いたEMAの計算方法
pandasのewm
メソッドを使ってEMAを計算します。
# Compute EMA with a span of 10
df['EMA'] = df['Close'].ewm(span=10, adjust=False).mean()
5.3 matplotlibでのEMAのプロット
次に、EMAを含むチャートを再度プロットします。
# Create a dictionary to define the moving averages
apdict = mpf.make_addplot(df[['SMA', 'EMA']])
# Plot the chart with the SMA and EMA
mpf.plot(df, type='candle', addplot=apdict)
以上のコードを実行すると、SMAとEMAが追加されたローソク足チャートが表示されます。
5.4 EMAの利用例とその解析
EMAはSMAと同様にトレンドの分析に用いられますが、EMAは最新の価格変動に対する反応が早いです。そのため、短期的な価格変動に対する戦略を立てる際にはEMAが有用とされています。
6. まとめ
この記事では、matplotlibとpandasを使ってローソク足チャートを作成し、SMAとEMAを計算してプロットする方法を紹介しました。これらの知識を活用することで、金融市場のデータ分析をより深く、より具体的に行うことができます。
以上で本記事を終わります。ご質問やフィードバックがある場合は、お気軽にコメントください。
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